自己肯定感とは、ありのままの自分を受け入れる心の基盤です。
子供の自己肯定感は、日常で何気なく使われる親の言葉に大きく影響されます。前向きな「魔法の言葉」が子供の自己肯定感を育み、反対に否定的な「呪いの言葉」がその芽を摘んでいきます。
この記事では、自己肯定感の重要性と、親が使う言葉の影響を具体的に解説し、子供が自分を信じて成長できるための声かけの工夫を紹介します。
読者の方も、今日から実践できる「魔法の言葉」をぜひ見つけてください。
目次
自己肯定感の概要
自己肯定感とは、自分の良いところも悪いところも、ありのままの自分として受け入れる感覚です。この感覚があると、他者からの評価や成果に左右されず、自分自身をしっかりと認めることができます。
特に幼少期は、親や周囲からの働きかけがその基盤を作るため、自己肯定感の育ちにとって非常に重要な時期です。
自己肯定感の大切さ
自己肯定感がしっかりと形成されると、子供は自分の価値を信じる土台ができます。子供は他人の評価に流されることなく、自分の意志で行動できる強さや自信を持ちやすくなるのです。
反対に、自己肯定感が低いと、他者の評価に過度に依存し、失敗や批判に対して敏感になりがちです。結果として承認欲求が強くなり、他者承認ができない状況に陥ると「自分はダメだ」と感じやすく、新しいことに挑戦する意欲も失われがちになります。
こうしたリスクを避けるためにも、日常の親の言葉や行動が、子供の自己肯定感を育てるうえで重要な役割を果たしているのです。
自己肯定感を育む「魔法の言葉」と、自己肯定感を下げる「呪いの言葉」
「魔法の言葉」と「呪いの言葉」は、どちらも日常生活の中で無意識に使われがちの言葉です。
自己肯定感を育む言葉は、子供が「自分らしさを出しても大丈夫」と感じるための土台となり、一方で「呪いの言葉」はその自由を妨げ、無意識のうちにプレッシャーや不安を与えてしまいます。
子供にかける言葉には「魔法の言葉」と「呪いの言葉」があるんだって。
それって興味深いにゃ。魔法の言葉は、子供が安心して自分を表現できるようにしてくれる言葉かにゃ?
そうだね。「よく頑張ったね」や「失敗しても大丈夫だよ」みたいな言葉が、子供の心を支えてくれるんだ。
魔法の言葉で子供の心を育てる
「魔法の言葉」とは、子供の行動や気持ちに寄り添い、子供が安心して自分らしさを表現できるようにする言葉です。親の日常のさりげない声かけが、子供の心に自由な表現の場を与え、自己肯定感の育成に重要な役割を果たします。
魔法の言葉の例
- よく頑張ったね
- 失敗しても大丈夫だよ
- 自分らしくていいね
- 思いっきりやってみて
- 今日は何が楽しかった?
- いつもありがとう
- やってみようか
魔法の言葉の特徴
肯定的な言葉
例えば「よく頑張ったね」「失敗しても大丈夫だよ」といった言葉が該当します。日常的に使うことで子供は失敗を恐れず、新しいことに挑戦しやすくなります。親から認められているという実感が、のびのびと自己を表現できる土壌を作ります。共感的な言葉
何かがうまくいかなかったときも、「大丈夫、次があるよ」と子供の気持ちに寄り添いながら伝えることで、子供は安心感を感じられます。「次はどうすればもっと良くなるかな?」と投げかけることで、失敗を過度に恐れず、次に繋げるリカバリー力も高めることができます。
魔法の言葉の効果
魔法の言葉をかけられることで、子供は自然に自分を表現しやすくなります。
親から肯定的な声かけをされることで、自分の考えや感じたことをそのまま表現しても大丈夫と感じ、安心感が生まれます。これが、自己表現を試みるための基盤となります。
自己肯定感とは「優れている」という評価基準ではなく、どんな自分であっても受け入れるための前向きな心の状態です。この前向きさがあると、失敗を恐れず行動できるようになり、結果として自分の行動や選択に自信を持つ礎となります。
自己肯定感があることで自信が育つ理由は、失敗を恐れなくなることにあるのです。
呪いの言葉で自己肯定感を壊さないために
「呪いの言葉」とは、子供の自己表現を狭め、プレッシャーや不安を与えてしまう言葉です。
例えば、「なんでできないの?」「他の子はできてるよ」といった言葉がこれに該当します。ただし親が「ダメ」と伝える必要がある場面もあるでしょう。その場合、行動の善悪は明確にしつつも、子供の意欲や気持ちを尊重し、行動自体への評価に留めることが重要です。
呪いの言葉の例
- なんでできないの?
- 〇〇ちゃんはできてるよ
- ちゃんとしなさい
- もっと頑張りなさい
- どうせまた失敗するでしょ
- いつもこうだよね
- まだまだだね
呪いの言葉の特徴
否定的な表現
「ちゃんとしなさい」「もう一度やり直し」といった言葉が続くと、子供は「自分を表現してはいけない」と感じやすくなります。親の評価に怯え、挑戦や意見表明がしにくくなってしまいます。他人との比較
「〇〇ちゃんはできてるよ」「お兄ちゃんはすぐにできたのに」といった他人との比較は、子供が「自分は自由に表現できない」「自分は劣っている」と感じやすくなり、自己表現に制約を感じてしまいます。
呪いの言葉の影響
呪いの言葉が続くと、子供は「どうせ自分にはできない」と感じ、自己表現を控えるようになってしまいます。
さらに、他者の評価を気にしすぎるようになり、何かを表現するたびに「どう思われるか」に意識が向きがちです。その結果、失敗を恐れて挑戦を避ける傾向が強まり、自発的な行動や表現が抑えられることも少なくありません。
また、自己肯定感が低くなることで、行動の基準が他者の目線や評価に依存するようになり、承認欲求が強くなる傾向も見られます。他者承認に依存することで自己承認できない状況に陥ると、子供が前向きに自己表現を続ける上で障害となる場合があります。
「魔法の言葉」は子供に「自分らしさを表現して良い」と思わせ、「呪いの言葉」はその自由を制限してしまう可能性があります。次のセクションでは、親が自分に対して使う「呪いの言葉」を避け、赤ちゃんや子供にポジティブな言葉をかける工夫について解説します。
親自身への呪いの言葉をポジティブに変える方法
育児中、親が無意識に自分へかける厳しい言葉が、知らず知らずに呪いの言葉になっていることがあります。
呪いの言葉を避け、赤ちゃんにはポジティブな言葉をかけることで、親自身も前向きに育児に取り組めるようになります。ここでは、よく使いがちな言葉をどうポジティブに変えるかを紹介します。
育児中って、つい自分に「ごめんね」とか「もっと頑張らなきゃ」って言葉をかけちゃうことがあるんだよね。
それって、親自身に呪いの言葉をかけちゃってることになるにゃ。ポジティブな言葉に変えられるといいかもにゃ。
つい使いがちな呪いの言葉
育児で親が無意識に口にしがちな自己否定の言葉は、自分への厳しさや育児の負担感から出てしまうことが多く、次のようなフレーズが見られます。
ごめんね
赤ちゃんのお世話をしていると、ついつい言ってしまいがちな一言。ごめんねを多用しすぎると、自己否定感に陥りやすくなるだけでなく、子供にとってもダメの基準をあげるため悪影響となります。もっと頑張らなきゃ
ついつい出てしまうこの言葉ですが、頑張り続けることが当たり前になると、子供の成長にも悪影響です。たとえば「頼ってもいいんだよ」「できる範囲でやろうね」と伝えられるように、自分も頑張りすぎないようにしましょう。どうしてうまくできないんだろう
期待通りにいかないとき、つい自分を責める形で使いがちです。自己否定が習慣化すると、イライラする原因にもなり、子供に対してきつくあたる原因にもなります。
ポジティブな言葉に置き換える工夫
育児中、つい「ごめんね」や「もっと頑張らなきゃ」といった自己否定の言葉が出てしまいがちですが、これをポジティブな表現に変えるだけで心が軽くなります。
例えば、おむつ替えが遅れたときに謝る代わりに「サラサラになって気持ちいいね」「スッキリしてよかったね」と赤ちゃんに声をかけると、自分を責めずに前向きに接することができます。
また、自分が未熟で至らないと感じる場面でも、「子供と一緒に成長している時間だ」と捉えることで、無理なく自然体で向き合えるようになります。
親もリカバリー力を高めていこう
育児の中で失敗する場面はたくさんあります。しかし、大切なのは失敗から学び、次の行動に生かす力です。こうしたリカバリー力は、失敗を恐れず、前向きに挑戦し続けるために欠かせません。
落ち込むよりも次に繋げようと考える方が気持ちも楽になります。親の前向きな姿勢は、子供にとっても「失敗しても次がある」という心強さに繋がり、失敗を成長の糧とし、挑戦する意欲が育まれるでしょう。
失敗してもいい。ただし失敗を糧にすることで自己肯定感を育む助けにもなるでしょう。
夫婦間のやりとりも、魔法の言葉で子供に安心感を与えよう
赤ちゃんの頃はまだ言葉の意味を理解していなくても、驚くほどのスピードで成長し、親のやりとりから多くを吸収します。
夫婦が自然に使う前向きな言葉は、赤ちゃんに安心感を与え、自己肯定感を育む土台となります。お互いを労わり支え合う言葉を日常的に交わすことが、子供にとっても心の安定につながり、成長に良い影響を与えます。
夫婦で使う言葉にも「魔法の言葉」を意識すると良いんだって。
お互いを支え合う姿が、自然と子供にも伝わって、自己肯定感の土台になるって考えると、毎日の声かけがさらに大切に感じるね。
夫婦で使いたい魔法の言葉
ありがとう
感謝を伝える一言が、日常を穏やかにし、夫婦の支え合う姿勢を示します。大丈夫だよ
失敗や困難に直面したときにかける一言で、お互いの安心感が高まります。自分がやるね
パートナーの負担を分かち合い、安心して任せられる関係を築きます。助かったよ
小さなことでも感謝を示すことで、相手の協力が日常の支えになっていることが伝わります。お疲れさま
一日の頑張りをねぎらう一言が、共に育児に向き合っているという実感を深めます。頼ってくれて嬉しい
お互いに支え合う姿勢が、無理せず頼り頼られる関係を作ります。今日はゆっくりしよう
無理せずリラックスできる時間を共有することで、心の余裕が生まれます。
魔法の言葉で自然と楽になる育児
魔法の言葉を意識して使うことで、夫婦間に穏やかなコミュニケーションが生まれ、育児に対する負担感が軽くなります。
相手を労わる言葉を日常に取り入れると、気持ちのすれ違いや疲れが軽減され、お互いに安心して育児に臨めるようになります。無理をせず、自然と心がほぐれる言葉を意識することで、育児そのものが楽に感じられる効果も期待できます。
魔法の言葉を習慣にして自己肯定感を育む
夫婦の支え合う姿勢が、言葉を通じて子供にも伝わり、家族全体の温かい雰囲気が自己肯定感を育む土台となります。言葉のことだまとなって家族の絆を深め、子供が「自分は愛され、守られている」という実感を持つ助けにもなります。
日常的に前向きな言葉を使い、夫婦がお互いを支え合う姿を見せることで、子供も安心感を持って成長していけるでしょう。
子供の自己肯定感を高める日常の行動と声かけポイント
子供の自己肯定感は、日常の小さな言葉や態度の積み重ねによって育まれます。以下のポイントを意識して、毎日の生活に取り入れてみましょう。
魔法の言葉を使う
「よく頑張ったね」や「失敗しても大丈夫だよ」といった前向きな言葉で、子供に安心感を与えましょう。呪いの言葉を避ける
「なんでできないの?」や「〇〇ちゃんはできているよ」などの否定的な表現や比較は避け、自己肯定感を守りましょう。夫婦の協力も重要
夫婦がお互いに感謝や励ましの言葉をかけ合うことで、家庭全体に安心できる雰囲気を作り、子供の自己肯定感を育む基盤を整えましょう。
毎日のちょっとした声かけや労いが、子供の心に少しずつ安心感を積み重ねていきます。家族みんなで支え合いながら、自然体で子供の自己肯定感を育てていきましょう。
この記事を書くにあたり、以下の文献を参考にしました。
参考文献:愛知教育大学学術情報リポジトリ(自己肯定感と失敗観、失敗に対する対処行動との関連)
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