ママじゃないとダメという赤ちゃんって多いですよね。でも、そうじゃない赤ちゃんもいるし、なぜそんな違いが出るのか気になりませんか?
パパとしても、ママにばかり頼られてしまうと、少し寂しい気持ちになることがあるかもしれません。もしかすると、本能的なものなのかなと考えてしまうこともあるでしょう。パパ見知りという言葉もありますし、実際のところはどうなのか、調べてみました。
ちなみに、特に参考になったのがジョン・ボウルビーの愛着理論です。この理論によると、赤ちゃんが特定の人に強い愛着を持つのには理由があり、そこには意外な要素が関わっていることがわかりました。
詳しい詳細と理由は、記事で詳細に書かせてもらいました。育児パパとしてできることについてお伝えしますので、ぜひ読み進めてみてください。
目次
赤ちゃんの愛着形成の4段階
ジョン・ボウルビー愛着理論の中には、赤ちゃんの愛着がどのように発達していくかを4つの段階に分けて説明しています。この4つの愛着形成によって、いわゆる人見知り現象がおこると考えられます。
パパ見知りって怖いよね。赤ちゃんが自分を避けるようになったらどうしようって思っちゃう。
でも、6ヶ月までにしっかり関わってれば、パパ見知りも防げるかもしれないにゃん。
そうだね。できるだけ早くから関わることが大事だと思うけど、6ヶ月過ぎてからでも遅くはないって聞いたよ。日々の積み重ねで絆を深めれば、しっかり安心してもらえるはず。
パパ見知りを防ぐためにも、焦らずに関わり続けることが大事にゃん!
愛着形成の4段階
※本項は説明が多い為、むずかしい場合は次項まで読み飛ばしても良いかもしれません。
- 第1段階:人物弁別を伴わない定位と発信(生後0〜12週)
- 第2段階:一人(またはそれ以上)の弁別された人物に対する定位と発信(生後6ヶ月まで)
- 第3段階:弁別された人物への接近の維持(生後6〜24ヶ月)
- 第4段階:目標修正的な協調性の形成(2歳以降)
論文 ジョン・ボウルビーの愛着理論は、別府大学・別府大学短期大学部のサイトで読む事ができました。
第1段階、第2段階、第3段階を引用文として掲載します。
第1段階 人物弁別を伴わない定位(orientation)と発信(signals):この段階は誕生から少なくとも8週まで、一般的には12週頃まで続く。乳児は周囲の人に対して、定位、視線による追跡運動、つかむ、手を伸ばす、微笑する、喃語をいう(babbling)、泣き叫ぶ。こういう行動が相手の行動に影響して、乳児のそばにいる時間が長くなる。
第2段階 一人(またはそれ以上)の弁別された人物に対する定位と発信:この段階は生後6カ月ころまで続き、人に対する親密な行動が母性的人物(mother-figure)に対して顕著になる。
第3段階 発信ならびに動作の手段による弁別された人物への接近の維持:この段階は生後6カ月から7カ月の間に始まり、2歳ころまで続く。乳児はますます区別して人に接するようになり、外出する母親を追う、帰宅した母親を迎える、探索行動(rooting)のために母親を利用する反応が現れ、同時に誰に対しても示された親密な反応は減少する。ある特定な人が二次的愛着対象人物(subsidiary attachment-figures)として選択され、他の人たちは選択されなくなる。
愛着人物は母親・父親・年長の同朋・祖父母であることが多い。
月齢6ヶ月が鍵!積極的な育児を推奨
ジョン・ボウルビィの愛着理をもとに要約説明させてもらいます。
赤ちゃんの愛着形成は、生まれた瞬間から始まります。生後0〜12週の間は、赤ちゃんはまだ特定の人物を区別することはできませんが、周囲にいる人たちに対して視線を送ったり、声を発したりするなど、反応を見せることが特徴です。この時期から赤ちゃんは、周囲の人々との関係を少しずつ築いていきます。
6ヶ月頃になると、赤ちゃんは特に親密な人物、例えばママに対して強い愛着を示すことが多くなります。ただし、これは決して突然現れるものではありません。日々の積み重ねの中で、徐々に形成されていくものです。パパも早期から積極的に関わることがとても重要になるでしょう。
もし、月齢6ヶ月までにパパが積極的に赤ちゃんと関われば、パパ見知りを避けることができ、パパを安心できる存在として赤ちゃんが受け入れてくれる土台ができます。
もちろん、6ヶ月を過ぎた後も愛着形成は続きます。パパが6ヶ月以降も継続的に育児に関わることで、さらに親子の絆が深まり、赤ちゃんにとってパパが安心できる存在であり続けることができます。逆に、この時期に関わりが少ないと、パパ見知りのリスクが高まる可能性があります。
いそがしパパさんはどうする……?
育児に参加したくても、仕事の都合やその他の事情で十分に時間が取れないパパさんも少なくありません。育休を取得できないケースや、赤ちゃんとの時間が限られてしまうこともあるでしょう。
たしかに、第1~2段階までの期間と、第3段階からはじまる二次的愛着対象人物になれるかは大切です。しかし、育児は6ヶ月以降も続く長い旅路です。これからの時間を大切にし、赤ちゃんと一緒に過ごすことで将来に亘っての親子の絆を深めていくことは十分可能です。
パパも引き続き、育児に積極的に関わることで、赤ちゃんにとって信頼できる存在になり、家族全体の結びつきも強まります。
パパも重要な役割を果たす
お父さんにとっても、パパ見知りをされてしまうのはショックですし、大きなストレスとなります。そうならないためにも、育休期間や日常の中で、パパが積極的に育児に関与し、子供との愛着形成にしっかりと関わることがとても大切です。
最近、抱っこしたり、散歩したり、絵本読んだりするのが楽しくてさ。
しかも、パパがそんなふうに積極的に関わると、ママも助かるし、いいことばっかりにゃん。
うん、自然とママの負担も減ってるみたいだし、結果的にお互いにとって良い時間になってるよ。
日常のスキンシップで赤ちゃんとの絆を深める
パパが赤ちゃんとの絆を深めるためには、ママのように積極的に赤ちゃんと関わることが大切です。赤ちゃんとの日常的なスキンシップは、パパは安心できるんだぞという存在にします。
具体的な方法は、赤ちゃんが泣いたときにあやしたり、抱っこしたり、日常的にオムツ替えやお風呂に入れることです。さらに、赤ちゃんと一緒に絵本を読んだり、歌を歌ったりすることも良いスキンシップの機会です。小さな事でも積極的に参加するのが良いでしょう。
積極的なスキンシップは赤ちゃんの感覚や言葉の発達を助け、楽しい時間を共有するきっかけになり、親子の絆が深まります。パパが楽しんでいる姿を見せることで、赤ちゃんも安心し、笑顔が増えることが期待できるでしょう。
日々の積み重ねが、赤ちゃんにとってパパが信頼できる大切な存在であることを示し、親子の絆をより深めていきます。
パパの愛情が家族全体を支える
パパが積極的に赤ちゃんとコミュニケーションすることは、結果的に主体的な育児の参加になり、ママの負担軽減につながります。家族全体が協力して育児をする環境を作ることで、家族全員が支え合う体制が整います。
パパが育児に関わることで、子どもにとっての安心感や信頼感が育まれ、家庭全体の絆も強くなります。また、ママの負担が減ることで、ママもリラックスしやすくなり、その結果、赤ちゃんの育児環境もより良いものになります。
パパの関与が増えることで、育児は家庭全体での取り組みとなり、家族みんなが楽しく、協力しながら育児に参加できるようになります。家族の絆はより深まり、全員が安心して過ごせる家庭環境を作り出すことができるのです。
子供にとってパパも大切な存在に
ジョン・ボウルビーの愛着理論の第3段階を迎えると、生後6ヶ月までに愛着形成がうまく行われている場合、それ以降の成長にそって、親を追う行動や、親が帰宅すると喜んで迎える行動が見られます。
つまり、赤ちゃんはママ以外に対して人見知りしやすくなり、特に母親と離れると強い分離不安が生じやすくなるのですが、パパが大切な存在になることは可能です。
最近、赤ちゃんが僕と一緒にいるときも安心してくれるようになった気がするんだよね。
ママだけじゃなくて、パパとも安心できるってすごくいいことにゃん!
ママだけに依存せず、パパにも安心感を持たせる育児
赤ちゃんの後追い行動はママだけに集中せず、パパにも分散されるようになります。
パパが赤ちゃんに対して積極的に関わり、安心感を与えることに成功していれば、赤ちゃんはパパの存在もママと同じくらい安心できるものと感じるようになります。つまり、ママが不在のときでも赤ちゃんはパパのそばで安心し、パパが不在のときはママで安心するという、どちらか一方の親でも赤ちゃんが安心できる環境が整います。
パパに分散されることで、育児の負担を二人で分担しやすくなり、家族全体にとってのバランスが向上するという利点があります。
パパとママ、両方からの愛情で赤ちゃんの心が育つ
愛着形成において、ママだけでなくパパも赤ちゃんに安心感を与えられる存在になることが、子供の健全な成長に大きく寄与します。
パパが積極的に関わり、赤ちゃんとの触れ合いを通じて安心感を与え続けることで、ママだけに依存しないバランスの取れた愛着が形成されます。この過程は、将来的に子供が自立し、他者と健全な対人関係を築くための土台となります。
さらに、パパとママが協力し合って育児を行うことは、夫婦間の絆を強めることにもつながります。育児は大変な作業ですが、互いにサポートし合うことで、育児の負担は軽減され、家族全体の結束が深まります。
どちらか一方に負担が偏ることなく、家族全員が協力し合う環境を作ることが、健全な家庭の基盤となります。
ママじゃないとダメにならない為に
赤ちゃんがママじゃないとダメと感じるのは、自然な発達過程の一部です。しかし、パパが積極的に育児に関わることで、パパからも安心感を得られるようになります。
ジョン・ボウルビーの愛着理論の第3段階に見られるように、分離不安が生じやすい時期までに、しっかりと、特にパパとの関わりがある場合、赤ちゃんがパパにも愛着を感じるようになり、育児の負担を家族全体で分担できるようになります。
ママとパパが協力して赤ちゃんの愛着形成を支えることは、赤ちゃんの健全な成長だけでなく、家族全体の絆を深める重要な要素です。こうした協力体制が整うことで、赤ちゃんは将来的に他者との健全な関係を築くための基盤を得ることができます。
家族全員が協力し、愛情と安心感を共有することで、赤ちゃんが健やかに成長していける環境が整います。パパもママも、育児を楽しみながら、それぞれの役割を果たすことが、家族全体の幸福につながります。
この記事を書くにあたり、以下の文献を参考にしました。
参考文献:別府大学・別府大学短期大学部 ジョン・ボウルビィの愛着理論
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